とろろ豆腐百珍

読んだ本の感想などを書きます

2019-01-01から1年間の記事一覧

陸秋槎『雪が白いとき、かつそのときに限り』

短い文章はなるべくnote(陸秋槎『雪が白いとき、かつそのときに限り』|宇多川八寸|note)に書くようにしてるのですが、読書感想文が思ったより長くなったのでこちらにも載せます。 前作『元年春之祭』で、前漢時代を舞台にした美少女百合ミステリという離…

ダウンロード百合/アンインストール革命(月村了衛SFマガジンインタビュー感想)

SFマガジン2019年2月号〈百合特集〉に掲載された月村了衛のインタビューがnoteに公開された。『機忍兵零牙〔新装版〕』の発売に合わせての公開だが、このインタビュー読みたさに、早くもプレミア化しているSFマガジンをAmazonのほしい物リストにぶちこん…

次は拳骨にしたいと思います(山下泰平『舞姫の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』)

「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本 作者: 山下泰平 出版社/メーカー: 柏書房 発売日: 2019/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 聞いてくださいみな…

ノワールと機忍兵零牙について

アニメ『ノワール』と『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』を見た。 前回投稿したまどマギの二次創作がハーメルンでそれなりに読んでもらえたようなので、まどマギの話をしたほうがいいのだろうが、『ノワール』について書く。以下ネタバレです。 殺しの技…

もしも森鴎外が「魔法少女まどか☆マギカ」を観てから「舞姫」を書いたら

1. 「いざエリス、我と契りて魔法少女となりてよ」 いとらうたき白き獣ぞ我にたづぬる。四方よりは、げに恐ろしげなる「魔女」の「結界」の我に迫り来つつあり。 あゝ、誰が知りけむや、「ヰクトリア座」の舞姫とて多少は 都みやこ 人びと どもに名を知られ…

私はヤンキーになりたかった(知念渉『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー』)

自分の話から始める。 中学校三年生のときに学級が崩壊した。 毎週どこかのガラスが割られていたし、毎日火災報知器が鳴らされていた。校庭に吸殻、教室に空き瓶、トイレに避妊具。誰かが首を締められてオトされている光景が日常茶飯事だった。 別に一部の不…

ラフラのように

MONDO GROSSOの「ラビリンス」を聞いていたら、満島ひかりが「迷い込んで ラフラのように」と歌っていた。 ラフラとは何か。 La Fla フランスかスペインか、どこかヨーロッパの南の方、地中海の強い日差しが似合う響きだと思う。 ぱっと思い浮かんだのは細か…

60年代インテリ小説とフェティシズム

インテリという言葉が輝いていた時代があったらしい。 夏目漱石やなんかが帝大で教えていた明治末から学生運動が流行らなくなる70年代ごろまで、主に大学で学問と教養を修めた人間は人間がデキてきて、人間がデキた人間には世の中を良い方向に導いていくこと…