とろろ豆腐百珍

読んだ本の感想などを書きます

名の効用

 映画『レディ・バード』を見た。

 ニューヨーク(都会)の生活に憧れながらサクラメント(田舎)のカトリック校に通うクリスティン(シアーシャ・ローアン)が過ごした高校最後の一年間の青春。

 物語の最後、親からもらった名前に反抗してレディ・バードという新しい名前を自分に付けていたクリスティンが、高校を卒業して一人暮らしをはじめたニューヨークからサクラメントの両親に電話で「クリスティンという名前、気に入っているわ」と伝える場面がある。

 地元を離れたクリスティンが、退屈な田舎町として疎んじていたサクラメントでの日々を大切なものとして受け入れることができるように成長したことを象徴するラストシーン。

 

 ニューヨークに上京してきた若者と新しい名前ということで同じくアメリカの小説家トム・ハンクストム・ハンクス)の「配役は誰だ」(『変わったタイプ』所収)と比べてしまう。

 こちらではアリゾナから女優になる夢を抱いて上京してきたものの何もかもうまくいかないスー・グリーブが名プロデューサーのボブに野暮ったい実名に代わるオノレ―・グッドという新しい名前をつけてもらい成功するというストーリー。

 

 トム・ハンクストム・ハンクスだが『レディ・バード』も監督・脚本のグレタ・ガーヴィグが女優になる前の自身をモデルにした自伝的作品で、二人ともスターになっている。

 アメリカンドリームで成功するには実名がいいのか芸名がいいのかどっちなんだい。きんに君も実名にしていたら筋肉留学に成功していたのかい。