とろろ豆腐百珍

読んだ本の感想などを書きます

甲子園と応援歌と

 テレビを付けた瞬間7-0という点差が目に入ってこれは負けたな、と思った。仙台育英強かった。早実の選手もお疲れ様です。

 我が家の両親は早稲田OBのため今年の甲子園は缶ビールを片手にテレビに向かって「早稲田!早稲田!早稲田!オー慶応倒せ~!!」などと叫んでいる。(相手が今治西だろうが東海大甲府だろうが仙台育英だろうが「慶応倒せ」になっている)

 そして勝てばその夜は同じく早稲田OBの叔父二人を呼んで祝勝会と称して酒を飲み、「紺碧の空」の大合唱である。野球を口実にただ騒ぎたいだけなのは見え見えだが、卒業三十年たってもまだ応援歌が口をついて出るとはげに体育会の恐ろしさよ。

 

 早稲田や慶應は歴史が長い分特にその傾向が強いのだろうが、大学の校歌や応援歌は中学や高校のそれと比べて愛着を持たれている気がする。小中高の場合は年に数回の式の最初に流されて歌うだけなのに対して、大学では対外試合の応援や同窓会で流れるから、学生に身近なイメージがあるのだろうか。あと飲み会。伝統ある部やサークルだとOBが多いだろうし。

 校歌、学生歌それ自体が有名になっている例も多い。「都の西北」だったり「若き血」だったり「都ぞ弥生」だったりはカラオケにも入っているしね。

 

 と、ここまで書いて、うちの大学の校歌なんて聞いた覚えがないことに気付いてしまった。調べたところ、どうやら旧帝大に限っては戦前まで校歌がない大学のほうが多かったようだ。帝国大学官吏の養成機関という位置付けだったため校歌は不要という考えがあり、その後新制大学になっても、旧制高等学校から受け継がれてきた寮歌や学生歌がすでにあるため新しく校歌を作る必要を感じないまま今に至る・・・というケースが多いようだ。

寮歌 - Wikipedia

 Wikipedia大先生によると

一高(戦後東大)の寮歌「嗚呼玉杯に花うけて」

http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/aagyokuhai.html

三高(戦後京大)の逍遥歌「紅もゆる丘の花」

http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/kurenai.html

北大予科の寮歌「都ぞ弥生」

http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/miyakozo.html

が三大寮歌とされているらしい。逍遥歌ということは昔の高校生は散歩しながら「都-の花にー嘯けばー 月ーこそかかーれ吉田山」と口ずさんだということなのか・・・。バンカラだなあ。

 阪大で一番有名なのは「嗚呼黎明は近づけり」のようだ

http://www.eonet.ne.jp/~ougc117/others/Zenryouka.html

 

大先生によれば左翼運動歌の「嗚呼革命」の歌詞をパクっ・・・借用したものらしいが「嗚呼黎明は近づけり 起てよ我が友自由の子」って、現代の大学生だったら徹夜で宅飲みしてたらいつの間にか朝になっちゃった、って解釈にしかならない気がする。

 そして調べているうちに気付いたのだが、この歌を含めて昔の寮歌の多くが創価学会の学会歌に採用されている。

 国歌も校歌も一つの歌を集団内で共有して仲間意識を高める役割があるのだから、宗教団体が自分たちの歌を持とうとするのは分かるのだが、何故それを寮歌から取ってきているのだろうか。謎だ。そういう研究をした新書があったら読んでみたい。